2019/12/05

不法侵入

「あ、半藤さんおかえりなさい」
「おかえりなさい」
「お邪魔してます」

ちょ、なんでみんないるんですか!
どこから入ったんですか!どうやって入ったんですか!
「信夫さんもおかしなことを聞きますね、
鍵を開けて玄関から入ったに決まっているじゃありませんか」

合鍵なんか渡した覚えはありませんが?
「ええ、合鍵をいただけないので勝手に作らせていただきました」
ひいっ



「そんな些末な事どうでもいいじゃありませんか」
些末じゃありません、不法侵入です!

「そんな事より・・・信夫さんお誕生日おめでとうございます」
「「おめでとうございまーす」」 

「信夫さんは幾つになられたのですか?」
「お姉さまも知らないのですか?」
「わたしも知りたいです」

えーと、あの、その・・・じゅ、じゅうななさいです
「まあっ」
「あらあら」
「わあっ」
「信夫さん年下だったのですね、じゃあ信夫さんじゃなく信夫クンね」
「ひとつ違いなんて一番つりあいが取れてるじゃないですか、ね、センパイ」
「それじゃあお兄様ですね、わたしお兄様が欲しかったんです」

「信夫クン、年上の言うことは聞かなくちゃ駄目ですよ、
ほら二人きりになれる所に行きますよ」

「先輩、わたしにお勉強とか色々な事を教えてください、
さあ私のお部屋に行きましょう」

「お兄様お兄様、わたしお兄様と一緒に遊園地に行きたいです」

ごめんなさい嘘です、じゅうななさいじゃありません
「えーっお兄様じゃないんですか」
「せっかくお勉強を教えてもらおうと思ったのに」

「やっぱり、なんでそんな嘘をつくんですか?」
だいたいオジサンに歳を聞くなんてマナー違反ですよ
「いいえ、信夫さんはおじさまではなく大人の方ですから
マナー違反ではありませんよ」

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